今日も頭の体操を兼ねてフェルミ推定を行います。
本日のお題は、「日本で養鶏業に従事する人は何人か?」です。
我が家では卵や鶏肉は食卓に欠かせない食材です。
多くの家庭においても同様ではないかと想像します。
唐揚げもオムレツもだし巻き卵も美味しいですよね。
そんな食卓を支える人たちは何人くらいいるのか?を推定してみたいと思います。
推定
推定の結論を先に示すと、養鶏業に従事する人の数は82億枚と推定しました。
今回の考え方
かなりラフに推定してみます。
養鶏業の従事者数は、業界の年間売上規模に対して人件費率をかけて人件費規模を算出し、平均人件費で割る事によって算出してみます。
養鶏業の従事者数 = 養鶏業の売上 × 30%(人件費率) ÷ 500万円(1人当たり平均人件費)
養鶏業の売上規模が必要になりますが、簡単なモデルで算出してみます。養鶏業で生産された卵と鶏肉が消費者まで届くまでの、養鶏業者→卸売業者→小売業者→消費者というルートでのお金の動きを考えてみます。
養鶏業者の売上 = 卸売販売店の売上 × 70%(卸売販売店の原価率)
卸売販売店の売上 = 小売販売店の売上 × 50%(小売販売店の原価率 ※加工を含む)
小売販売店の売上 = 消費者の購入金額
⇒ 養鶏業者の売上 = 消費者の購入金額 × 70% × 50%
上記モデルから推定される養鶏業の従事者数は、下記の計算式で算出できます。
養鶏業の従事者数 = (消費者の購入金額 × 70% × 50%) × 30% ÷ 500万円
消費者の購入金額については、卵と鶏肉についてそれぞれ考えていきます。
卵の市場規模
卵の市場規模ついては、1年間の消費数量×単価で算出してみます。
日本の1.2億人の人口が1日平均で2個の卵(パン等の卵を使われた食品も含む)を消費するとして、1個当たりの卵の単価を15円とすれば・・・
卵の市場規模 = 1.2億人× 2個 × 365日 × 15円
で算出されます。結果は、卵の市場規模は約1.3兆円と推定されました。
鶏肉の市場規模
鶏肉の市場規模ついても、1年間の消費量×単価で算出してみます。
日本の1.2億人の人口が1日平均で100gの鶏肉を消費するとして、100g当たりの鶏肉の単価を1円とすれば・・・
鶏肉の市場規模 = 1.2億人× 100g × 365日 × 1円
で算出されます。結果は、卵の市場規模は約4.4兆円と推定されました。
推定結果
養鶏業の従事者数は下記のモデルで算出します。
養鶏業の従事者数 = (消費者の購入金額 × 70% × 50%) × 30% ÷ 500万円
消費者の購入金額は、卵と鶏肉に市場規模の合計値で約5.7兆円と推定しました。その結果を上記モデルに組み込むと
養鶏業の従事者数 = (5.7兆円 × 70% × 50%) × 30% ÷ 500万円 = 約855,000人
となりました。養鶏業の従事者数は約8.6万人という推定結果となりました。
答え合わせ
最後に答え合わせをしてみます。
インターネットで調査しましたが、ぴったりな統計値はありませんでしたが、近いデータを発見しました。
養鶏業の常雇人数(全国,経営組織別)によると
2015年:16,327人
(農林中金総合研究所 農林金融2017・9 畜産部門における組織経営の進展と
農業労働力の変動 より)
上記数値は、パート/アルバイトや日雇い相当の人数を除いた人数なので、実態の従事者数はもっと多いと考えられます。
仮に、常雇人数と日雇人数の人数が同じだとすれば、養鶏業の従事者数は、約3万人程度になるのではないかと思います。
考察
今回の推定結果が8.6万人です。正確な従事者数は不明ですが、およそ2倍程度には見積もった事になります。
従事者の年収を500万円として推定しましたが、パートや日雇いの人数を考慮すると実際にはもう少し低い年収の可能性が高いです。それを考慮するともう少し大きな値として推定する事もあり得ました。
今回思ったこととしては、「複数の業者をまたぐ商流が構築された産業の場合、消費者売上規模をある程度イメージできたとしても、それぞれの業者の原価率を適切に設定できなければ、推定誤差は大きくなっていく」ということです。
実際に推定結果を元に事業を構築していく場合には、調査をしながら地盤を固めていく必要があるのだと感じました。
これまで行った推定結果に興味のある方はこちらからどうぞ
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