技術部門(開発/設計) と ビジネス部門(営業/企画) の対立を解消しよう

仕事

私はメーカー勤務で、5年以上製品開発部門で新製品開発を担当した後に企画部門(事務方部門)に異動してきましたが、
開発部門と企画部門は対立関係に陥る事が多いと実感しています。

メーカー等の「自社で何かを開発して、お客さんに売る」という業態の会社においては、
技術部門とビジネス部門は対立関係に陥りがちだと思いますが、皆さんの会社ではいかがですか?

 

部門間の対立があると仕事が楽しくなくなるので、自分のためにも
対立が大きくならないうちに解消しておきたいものです。

そこで、今回は私の周りで起こってきたことをベースに考えてきた事、学んできた事を整理し、まとめてみました。

特に悩んでいる若手から中堅の方々の参考になれば良いと思っていますので、なんとか現状を打開したいと苦慮している方々は是非読んでみてください。

 

スポンサーリンク

1. なぜ対立が起こるのか

まず、対立が起こる理由/原因を4つほど挙げてみます。

① お互いに相手部門が何もしてくれていないように感じている (不信感)
お互いに相手部門の仕事をやった事がないため、相手部門が仕事を進める際にどの程度の業務負荷や立ちはだかるハードルがあるかを理解できないことが多いです。
理解できないから「簡単なのでは?」「もっと早く出来るのでは?」と楽観的に判断し、「なんでやってくれないのか?」「そっちもやってないじゃないか?」と言って不信感をぶつけ合って険悪なムードになってしまいます。
特に技術部門は自分たちが無理難題に日々取り組んでいるため、ビジネス部門の仕事を軽視しがちです。

② お互いに自部門のやりたい事を通したいと思っている (面倒)
少なくとも2部門以上で会議をする場合には、少なくとも1部門以上はやりたい事(思惑)を持っているものです。そして、なるべく自部門の思惑通りに事を運びたいと考えています。
しかし、思惑を持った部門が2部門以上あると、妥協を迫られる部門が出てきます。妥協することで再調整が必要な項目が出てくることもあるため、どの部門もなるべく妥協はしたくありません。その結果、対立して議論は硬直状態に陥ります。
ビジネス部門は自分たちのシナリオ通りに技術部門が動く事を好む傾向があると思います。

③ 部門長同士の中が悪い (好き嫌い)
部門長になるということは、ある分野でそれなりに経験を積んでいます。仕事の考え方や進め方は、部門によって異なる事が多いです。
育ってきた環境が違うから、好き嫌いは発生しますよね。
好き嫌いがあるのは良いのですが、好き嫌いを仕事の中に持ち込んでしまう人がたまにいます。嫌いな相手のために妥協や調整をする必要はないと部門長が判断すると、部下たちも仕事を前に進める事が出来なくなります。
技術部門同士の場合や、ビジネス部門同士の場合は文化が似ているため部門長の考え方は近いのですが、技術部門とビジネス部門の上司同士はお互いに警戒しあっています。

④ 他部門に協力することが自部門のミッション達成の障害になる (目標の不整合)
お互いに協力して進めていくことが重要だとわかっていても、他部門に協力した場合に自部門のミッション達成の障害になる事が見えてくることがあります。例えば、「協力するために人を投入すれば、リソース不足に陥り自部門のミッションが達成できない」などです。
このような場合は、自部門の業務を優先しがちなので、対立というよりは事態が膠着状態に陥ります。

置かれた状況によって上の理由に当てはまらない場合もあるかもしれませんが、9割程度の状況は上のどれかに当てはまるのではないかと思います。

2. どのようにすれば対立を解消できるのか?

では、どのようにすれば対立を解消できるのでしょうか?

上に挙げた4つの状況別に考えていきたいと思います。

① お互いに相手部門が何もしてくれていないように感じている (不信感)
このような場合には、相互理解を深めるためにまずは自部門の状況を適切に伝える試みが必要です。
ただし、その際に意識すべき事は自部門の頑張りや大変さをアピールする事ではなく、自部門の取り組みについて伝える事です。
頑張るのは当たり前、大変なのは当たり前で、事態を進展させようと取り組んでいる事が重要です。不信感を取り除こうと実際に動くのです。
その姿勢を見た相手部門は、「自分たちが足を引っ張っている」と第三者に思われたくないので、何かしらの取り組みを始める可能性が高まります。
その取り組みが互いに見えるようになってくると、対立から協力関係が生まれます。

② お互いに自部門のやりたい事を通したいと思っている (面倒)
この場合は妥協を迫る部門と迫られる部門で対応が変わってきます。

妥協を迫る側にいる場合には、とにかく相手の困る事を調査し、少しでも自部門で調整可能な項目があればなるべく自部門で調整を行うようにします。
面倒を肩代わりしてあげる事で感謝を引き出し、協力してもらいやすい環境を作ります。

妥協を迫られる側にいる場合には、どのような部分が困っているのか?、面倒なのか?を背景情報も含めて詳しく説明します。
また、「こうしてくれると有難いのですが・・・」というように相手部門のやりたい事を楽に実行するための提案が出来れば、相手部門が妥協してくれる可能性も高まってきます。

③ 部門長同士の中が悪い (好き嫌い)
出来る事が乏しいのがこのケースですが、まずは上司に正攻法で攻める事から始めます。

「部門のミッションを達成するためには、○○部門と協力してプロジェクトを進める事が大切だと考えています。なぜなら・・・」というように上司が率いる部門が成果を上げるというメリットを説明します。仮に好き嫌いを優先するよりも、部門のメリットを追求したほうが最終的に上司自身のメリットになると感じてもらえれば、上司は好き嫌いを押し殺してくれる事があります。

※私の場合は、「課長は部長の指示に絶対服従、部長は好き嫌いが激しく部門間の調整が下手」というどうしようもない環境に置かれたことがありますが、2階層上の上司の好き嫌いに対して正攻法で攻める事は難しく、課長も動いてくれない我慢の時期がありました。
結局、課長が交代し、新課長が「部門が成果を上げる事を重視する」姿勢の方だったので、部長の好き嫌いを上に書いたような正攻法で打開してくれたという経験があります。
好き嫌いで対立して停滞した状況を打開するには時間がかかる事もあります。

④ 他部門に協力することが自部門のミッション達成の障害になる (目標の不整合)
このような場合は、両部門の目標の一致点を探していくことが重要になります。
各部門でそれぞれのミッションを抱えているため、「利益を追求する」といった上位目標は一致していても細かい点では相容れない事はあります。
現状では相容れない事があると理解したうえで、どうすれば良いかを考えていきます。具体的には、少しずつ上位目標を書き出していき、両部門の目標が一致するポイントを探していきます。一致する目標を共有した後に、今度は逆に具体例(下位目標)にかみ砕いていく中で他部門と協業可能な項目を設定していきます。
このように、ミッション達成ための具体的手段の中に協業することを組み込むことで、お互いにミッションを達成しつつ協業も行えるようになってきます。そして、協業によりアウトプットの量や質も向上させる事が出来ます。
※ちなみに、目標の整合性がとれていても、純粋にリソース不足である場合には、増員する権限のある人に訴えていく必要があります。

 

3. 対立解消に向けリーダーシップを取るべき人は誰か?

これまで、対立が起こる4つの原因に対して、どのような対策を行えば、対立を解消して協力関係を気付いていけるかについて説明しました。

最後は、対立解消に向けたリーダーシップや行動をとるべき人は誰か?という点についてまとめていきます。

人の観点

リーダーシップを取るべき人は、気づいた人です。
例えば、このような記事を読んでいるあなたです。

現状を変えるためには、誰かが動く事によって現状バランスを崩していく必要があります。
それが出来るのは、「現状は何かおかしい」「現状は居心地が悪い」「現状は楽しくない」と気づいている人しかいません。

私の感覚では、現状の異変に気づいている人のうち、実際に行動に移すことができる人は20%もいないのではないかと思います。

まずは、あなたが行動する20%になり周囲に働きかけてみると何か変化が起きるはずです。
その際、上に書いた対策をヒントにしていただくと変化が起きる確率が高くなると思います。

※あるべき論として、「上司がリーダーシップを取るべき」という考え方もありますが、上司が協力関係を構築しようとリーダーシップをとる状況では、対立はそこまで大きくなりません。上司が出来ていないから、誰かがやる必要があるのです。

部門の観点

技術部門とビジネス部門で部門対立を乗り越えて協力していくためにリーダーシップを取るべきなのは、ビジネス部門だと思います。

なぜならば、対立を解消するためには、ビジネス部門のほうが広い視野を持っていたり幅広い情報を集める事が出来るからです。
広い視野と幅広い情報を持っていれば
対立を煽るような人がいる場合などでも、ゆとりを持って対応することができます。

同様に、技術部門同士の対立の場合も、ビジネス部門同士の対立の場合も、より広い視野や幅広い情報を入手できる部門がリーダーシップをとるほうが物事はうまくいきます。

まとめると

上記観点をまとめると、ビジネス部門に所属していて、現状の部門間対立を解消したいと思っている方は、リーダーシップをとって自体を改善できる可能性が高いということになります。

 

最後に

ここまでで

1. なぜ対立が起こるのか?

2. どのようにすれば対立を解消できるのか?

3. 対立解消に向けリーダーシップを取るべき人は誰か?

について、技術部門とビジネス部門の特徴を交えながらまとめてみました。

 

部門間の対立を解消できるようになることは、自分がより良い環境で働けるようになる事につながるだけでなく、自分のレベルアップにもなります。

特にビジネス部門に所属し現状を何とかしたいと思っている方は、上に書かれた事をヒントに行動を起こしてみてほしいと思います。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました