「隣は何をする人ぞ?」
この質問をされて、
「隣の人は○○を担っている」
「所属する課は○○を担っている」
「隣の課は○○を担っている」
「所属する部は○○を担っている」
「隣の部は○○を担っている」
と、すべての内容に答えられる人は私も含めてあまりいないのではないかと思います。
部長クラスの方ならすべて答えて欲しいとは思いますが、それぞれの課の関係性、ぞれぞれの部の関係性まで含めて正確に答えられる部長さんが希少な存在であることは、会社員を3年も続けていれば感じてくる事だと思います。
一定の規模以上の会社で仕事をしていると、効率的に業務をするために社内の業務が細分化されていますが、その弊害として部門の全体像や会社の全体像を把握する事が難しくなります。
では、どうすれば部内の業務の全体像を理解できるのか?
そんな悩みを解決する手段の1つとして、社内ポータルサイト作成をお勧めしたいと思います。
社内ポータルサイトは、Yahoo! や MSN のような不特定多数の人がアクセスするものではなく、社内関係部門がアクセスできるサイトです。おそらく、社内ポータルサイトが存在する会社は多いと思いますが、それは全社レイヤー/事業部門レイヤー/センターレイヤーのもので、部レイヤー/課レイヤーの社内ポータルサイトを活用している人は少ないのではないでしょうか?
部レイヤー/課レイヤーのポータルサイトを作る事によって、作成者自身は部内の業務内容が見えてきます。また、部員がポータルサイトを活用することによって、部全体としての視点が高くなります。
ポータルサイトがあると、業務に必要なフォルダに簡単にアクセスできるようになるため、新人(新入社員や異動での転入)にとっても予め業務の「地図」を提供することが出来、人材教育上でのメリットも出てきます。
部長は自部門の業務内容を知りたいときにいつでも内容を確認することが出来るようになります。
ポータルサイトを作りたくなってきたでしょうか?
今回はエクセル(Excel)を使ったポータルサイトの作り方を紹介していきます。
ポータルサイトを部門内で普及させるためのコツも紹介していますので、エクセル以外で作成しようとしている方も、参考にしていただければと思います。
ポータルサイトの作り方
ポータルサイトは「誰かの役に立つものである事」がとても重要です。
部のポータルサイトを作るためには、まずは所属する課のポータルサイトを作成して同僚や上司の意見を確認すると良いと思います。
「同じ会社内でも部門によって考え方が異なるため、どのようなポータルサイトが役立つのか?/好まれるか? のヒントを得ながら進める。」
そんな流れも含めて紹介できれば、と思います。
1. 課内で必要な情報の洗い出し
まず、課内で必要な情報を洗い出します。
大枠で4つくらいの分類イメージでまずは考えてみましょう。課の運営に関する情報、定常業務に関する情報、プロジェクト業務に関する情報、業務を支える基礎データ情報の4つです。
それらの情報は、基本的にはどこかのフォルダの中にまとまっていると思います。そのフォルダ名を意識して情報名をつけてエクセルに打ち込んでいきます。例えば、こんな感じです。
2. 課内ポータルサイトの作成
必要な情報リストが挙げられたら、その情報リストをクリックすれば、必要な情報が格納されたフォルダが新規ウィンドウで開くように設定していきます。
まず、必要な情報が格納されたフォルダのアドレス(パス)を取得します。
必要な情報が格納されたフォルダを開いて、フォルダパスが記載された部分を右クリックし、「アドレスをテキストとしてコピー」します。
※この例では私のPCに保存されているフォルダを指定していますが、実際には会社の共有フォルダを指定することになります。
次に、エクセルに記載された情報リストとフォルダ情報を紐づけしていきます。
情報リストを右クリックし、「リンク」をクリックし、「ハイパーリンクの挿入」を表示します。
アドレス欄に、先ほどコピーしたフォルダアドレスを貼り付けてOKを押します。
これで、「月次売上報告」のセルをクリックすれば、その情報が格納されたフォルダがポップアップで開くようになります。
同様に、すべての情報リストに対して対応すべきフォルダのアドレスをリンクでつないでいきます。
リンクが完成すると、情報リストの文字は青くなり、下線がついた状態になります。
上のリストのままでは味気ないので、少し装飾してみます。
文字色は黒に着色しなおします。また、シート名も課の名前にしておきます。
見た目は好みがありますので一例としてはこんな感じです。
ファイルをExcelブックとして保存た後に、WEBページを発行します。
「名前を付けて保存」をクリックし、「○○課ポータルサイト」として通常ファイルとして保存します。
再度「名前を付けて保存」を行い、その際に「ファイルの種類」を「WEBページ」に変更します。
「ページタイトル」に「○○課ポータルサイト」と記入し「OK」ボタンを押します。
補足説明に書かれている通り、ブラウザでポータルサイトを開いた時のタイトルバーの表記なので、分かりやすい名前を付けると良いです。
次に「発行」ボタンを押すと、「WEBページとして発行」ウィンドウがポップアップで開きます。
「ブックを保存するときに常に自動再発行を行う」にチェックをして、「発行」ボタンを押します。
WEBページを発行すると、エクセルファイルと同じフォルダにポータルサイトのHTMLファイルが保存されます。
HTMLファイルをインターネットエクスプローラーで開いてみると、エクセルで作った見た目とほぼ同じのWEBページが開きます。※中央寄せのポータルサイトになります。
情報リストをクリックすると、リンクさせたフォルダが開き、簡単にアクセスすることが出来ます。
これで、ポータルサイトの作成は一旦完了です。
3. 課内でのレビュー
先ほど作成したポータルサイトのHTMLファイルを、課内のメンバーがアクセスできる共有フォルダに保存してください。
複数人で運営されている会社では、社内ファイルサーバーなど何等かの方法でファイルを共有する機能を持っていると思います。その中にHTMLファイルを保存するということです。
そして、課内のメンバーにHTMLファイルのリンクを連絡し、試しに使用してもらいましょう。
「あの業務が抜けているね」
「この分類方法の方が良いのではないか?」
「このフォルダのリンクも追加したら便利ではないか?」
こんなアドバイスがもらえるはずです。
もらったアドバイスを吟味して、反映すべきものを反映し、再度ポータルサイトを更新します。
再度アドバイスをもらい、アドバイスを反映すれば、課のメンバーお墨付きのポータルサイトが完成します。
2回ほどアドバイスを反映させることで、作成者のポータルサイトから、課のポータルサイトへ進化させることができます。
周りを巻き込んで当事者になってもらい、「役に立つから使われるポータルサイト」を作る事がとても重要です。
4. 隣の課への展開
自分の所属する課でのポータルサイト作成が成功したら、部長や隣の課の課長がいる場でポータルサイトを積極的に使用しましょう。
アピールはカッコ悪いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、営業活動や売込み活動は大変重要です。
業務をイメージしやすくアクセス性の高いポータルサイトを使っている場面を見ていたら、「便利なものを使っている」と思ってくれる人が現れるはずです。
部長の場合なら「そっちの課でも同じようなポータルサイトを作ってくれないか?」と言うかもしれませんし、課長の場合なら「うちの課でも同じようなポータルサイトを作りたいから教えてくれないか?」といった声がかかるかもしれません。
そのチャンスに乗り、他の課のポータルサイト作成にアドバイザーとして参加できると隣の課の業務の理解が進みます。また、部としてのパフォーマンスアップに寄与することが出来ます。
5. 部内ポータルサイトの作成
可能であれば、部内にポータルサイトの輪を広げてみましょう。
部長の好みもあるので部まで広げる事を良いかどうかについては、一度お伺いを立ててみましょう。
部のポータルサイトは、各課で作成したポータルサイトの形によっていくつかパターンがあります。
もし、各課のポータルサイトの形がある程度共通化できていれば、部の列、課の列を用意しする形を取れると思います。
この場合が、一覧性があがり、部の業務の全体像を把握しやすくなります。
各課のポータルサイトの形がバラバラになってしまった場合は、部の列と各課のポータルサイトへのリンク集という形にするのが良いです。
部のポータルサイトが完成すれば、部のメンバー全体にポータルサイトのリンクを周知し活用してもらいましょう。
どのような形であれ、部のポータルサイトがあれば、管理職である部長や課長が異動で転入しきても、新入社員が入ってきても、部の業務の全体像、課の業務の全体像、それぞれの業務の関連性をつかんでもらいやすくなり、相互理解が早く進みます。
最後に
以上、エクセルを使ったポータルサイトの作り方を紹介しました。
私の経験から考えると、ポータルサイト作成をすることは周囲の役に立つだけでなく、自分自身の仕事のアウトプットにも良い影響を与えてくれるものでした。
どういうことかというと・・・
自分が属する組織の1階層上の組織の業務の全体像を理解できた上で仕事をする方が、視点が高くなり、付加価値の高い成果を上げる可能性が高くなり、評価される機会が増え、仕事を楽しむことが出来るようになります。仕事に追われるのではなく、仕事を追う事が出来るようになってきます。
もし、部門でのポータルサイトが存在しないのであれば、エクセルでまずはポータルサイトを作ってみて周囲の反応を見てみると良いと思います。
簡単ですので是非トライしてみてください。
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