今日も頭の体操を兼ねてフェルミ推定を行います。
本日のお題は「日本の歯科医院の数」です。
歯科医院には、総合病院や大学病院に入っている口腔外科等を含まない事にします。
私は神奈川県在住ですが、
院長と思われる歯科医の顔が大きく掲載された歯科医院の看板を見かけます。
看板として美しく感じないのですが、記憶に残ってしまう看板です。
アパホテル的な宣伝方法を採用していると思われます。
しかも、見かける頻度が高くなっているような気がします。
顧客集めが上手くいっているのかもしれません。
それでは推定を行ってみます。
推定
推定の結論を先に示すと、日本の歯科医院の数は、2.0万軒と推定されました。
推定は、下記の関係を用います。
歯科医院の数 = 年間の延べ患者数 ÷ 歯科医院1軒の対応可能な延べ患者数
では、それぞれの結果を確認していきます。
歯科医にかかる患者の延べ患者数
日本の人口を1.2億人として、100歳までの10歳刻みの各年齢層に均等割りつけすると、
1つの年齢層(10歳)あたり1,200万人です。
歯科医院への通院目的を、大きく2つに分けます。
①歯のトラブル対応(虫歯/抜歯/ホワイトニング等)
②歯の美容など(矯正/インプラント/入れ歯等)
それぞれに対して、延べ患者数を推定します。
①虫歯/抜歯/ホワイトニング等
延べ患者数を推定するために、各年齢層における通院率と平均回数を考えます。
①の目的で通院する必要がある患者は、
若年層ほど多く、高齢になるほど少なくなると考えます。
1-10歳は人口の90%の患者が通院し、71歳以上は人口の10%が通院すると仮定し、
その間の年齢層は90%から10%の間の数値とします。
また、年間通院回数も
若年層ほど多く、高齢になるほど少なくなると考えます。
1-20歳は3回、21-80歳までは2回、81歳以上は1回とします。
各年齢層の年間延べ患者数 = 1200万人 × 通院率 × 通院回数
なので、①の目的での年間延べ患者数は1.1億人となります。
②矯正/インプラント/入れ歯等
①と同様に考えます。
②の目的で通院する必要がある患者は、
若年層の矯正で多く、高齢の入れ歯で多くなると考えます。
1-20歳は人口の10%の患者が通院し、61-80歳は人口の50%が通院すると仮定し、
その間の年齢層は需要をイメージして調整します。
また、年間通院回数は矯正と入れ歯/インプラントで変えます。
若年層の矯正は成長期のため、年4回通院するとします。
入れ歯/インプラントは一度行えばその後の調整が少ないと考え年2回とします。
81歳以上は、物理的に通院が困難になるので1回とします。
各年齢層の年間延べ患者数 = 1200万人 × 通院率 × 通院回数
なので、②の目的での年間延べ患者数は0.5億人となります。
歯科医院にかかる延べ患者数
①と②の目的で通院する延べ患者数は、1.6億人となります。
このうち、1割が総合病院に通院すると仮定しますと、
歯科医院にかかる述べ患者数は、1.45億人と推定されます。
歯科医院1軒の対応可能な延べ患者数
歯科医院1軒で対応可能な述べ患者数は、下記の式で算出します。
営業日数 × 歯科医院1軒の1日あたり対応患者数
営業日数は、週休2日として240日とします。
歯科医院1軒の1日あたり対応患者数は、次のように考えます。
歯科医1軒で同時平行で対応可能な患者数を6人とします。
その6人が次の6人に入れ換わるためには1時間かかるとします。
歯科医の営業時間は6時間とします。
このように考えると、6人のグループを6回対応するので、
歯科医院1軒の1日あたり対応患者数は36人となります。
ただし、これは稼働率100%の場合なので、
実態としてはこの数値から2割程度を引いた30人とします。
従って、歯科医院1軒で対応可能な述べ患者数は
240 × 30 =7,200人と推定されます。
日本の歯科医院の数
歯科医院の数 = 年間の延べ患者数 ÷ 歯科医院1軒の対応可能な延べ患者数
という関係に推定値を当てはめると、次のようになります。
歯科医院の数 = 1.45億人 ÷ 7,200 = 約2.0万軒
結論としては、日本の歯科医院の数は、2.0万軒と推定されました。
答え合わせ
最後に、答え合わせをしてみます。
厚生労働省の医療施設動態調査( 平成28 年1 月末概数)によりますと、
歯科診療所の数は、68,730軒のようです。
私の推定値は2.0万軒なので桁は同じものの、少な目に見積もったようです。
歯科医院1軒の1日あたり対応患者数を30人と見積もっていますが、
実際の平均値は25人という推計をしている方もいます。
仮に25人が正しいとして計算しても、2.4万軒までしか増えません。
という事は、年間の延べ患者数の推定値1.45億人が小さい値となってしまったと推測されます。
実際には、3億人くらいという事でしょうか?
患者数についての仮定は、実際に医療に従事している方だともう少し実際に近い推定が出来るのかもしれません。
あくまでも推定なので、精度はこんなところでしょう。
実際に使う場合には、きちんとリサーチして適切な箱に適切なデータを入れましょう。
これまで行った推定結果に興味のある方はこちらからどうぞ
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